学校会計と企業会計の違い
1.学校会計とは
『学校会計』というからには、一般企業の会計とは違いがある。
学校会計の必要性
学校…教育を通して人格の形成と知識・能力の育成を担当
施設・設備を整え良好な教育環境のもとで、継続的かつ安定的に学生・生徒に対して授業を行わなければならない。
これらを実現するために…
こうしたお金の動きを記録・管理し、計算書類を作成⇒経営状態の把握
2.学校法人における計算書類の作成
学校法人会計
- 資金収支計算書
- 事業活動収支計算書
- 貸借対照表
- [ 資金収支計算書 ]
- 年度の諸活動に関するすべての収入と支出の内容と、当該年度に関わる支払資金の収入と支出のてん末を明らかにするもの。
- [ 事業活動収支計算書 ]
- 年度の経常収支と特別収支の内容を明らかにし、経営状況を明らかにするもの。
- [ 貸借対照表 ]
- 年度末における資産、負債、正味財産の状態(=財政状態)を表わす。
※計算書類の作成期限…毎会計年度終了後2ヶ月以内
学校法人の全活動の状況を財務面から明らかにする場合
資金収支計算・・・支払資金の収入と支出の対応計算
事業活動収支計算・・・事業活動収入と事業活動支出の対応計算
3.部門別会計
部門別計上及び配分
- 資金収支内訳表等の作成上「学校法人」部門の業務の範囲を定め、「学校法人」部門に直接計上されている収入及び支出の内容を限定的に列挙したこと
- 人件費支出について、教職員をいずれかの部門に割り当てる方法によって部門計上を行うこととしたこと
- 各部門間または学部、学科間等に共通する収入額及び支出額についての配分方法を具体的に示したこと
4.教育研究経費支出と管理経費支出
◎教育研究経費支出…教育研究費のために支出する経費、ただし、学生生徒等を募集するために支出する経費は除く
◎管理経費支出…教育研究経費支出以外の経費支出
区分基準:「教育研究経費と管理経費の区分について」(雑管第118号)より
- 必ず管理経費とすべきもの
- a.役員の行う業務遂行のために要する経費および評議委員会のために 要する経費
- b.総務・人事・財務・経理その他これに準ずる法人業務に要する経費
- c.教職員の福利厚生のための経費
- d.教育研究活動以外に使用する施設、設備の修繕、維持、保全に要する経費
- e.学生生徒等の募集のために要する経費
- f.補助活動事業のうち食堂、売店のために要する経費
- g.附属病院業務のうち教育研究業務以外の業務に要する経費
- これ以外の経費
- 主たる使途に従って、教育研究経費と管理経費とのいずれかに含める
※教育研究用および管理用双方に関連して発生しているものは、使用割合、教職員数、使用面積など合理的な配分基準によって按分する。
5.基本金
- ☆「その諸活動の計画に基づき必要な資産」とは
- ・学校法人の基本的諸活動である教育研究活動に必要な資産。
・教育研究活動に直接使用する資産の他、法人本部施設・教職員の厚生施設等も基本金組入の対象の資産となる。 - ☆「継続的に保持する」とは
- ・ある資産が提供するサービス又はその資産の果たす機能を永続的に利用する意思を持って、法人がその資産を所有すること。
- ☆「その事業活動収入から組み入れた」とは
- ・事業活動収入から基本金への組入額を控除すること。
このように基本金は、学校法人にとって財産的な基盤を確保するものである。
6.補助金と監査
私立学校振興助成法
「補助金の交付を受ける学校法人は、文部科学大臣の定める基準に従い、会計処理を行い、貸借対照表、収支計算書その他の財務計算に関する書類を作成しなければならない」(第14条第1項)
※基準=「学校法人会計基準」
⇒そのため、補助金の交付申請をする学校は、学校法人会計基準に従って会計処理を行い、計算書類を作成しなければならない。
⇒さらに、補助金の交付申請をする際に提出する計算書類には、公認会計士または監査法人の監査を求めている。
7.予算主義
補助金の交付申請を行う場合には、 「収支予算書を所轄署に届け出なければならない」(私立学校振興助成法第14条2項)とされている。
よって、学校法人の経営は、
目的を定めてその達成のための収支計画を立て、その予算に従って 実行することで、教育・研究活動を支障なく行うことができる。