リハビリテーション学科 作業療法専攻
障害を抱えた人の「できない」を「できる」に変え、暮らしと人生を一番長く支える医療の専門家 作業療法士。
川本 徹さん
- 卒業学科
- リハビリテーション学科 作業療法専攻
- 卒業年
- 非公開
- 勤務地
- 社会医療法人大雄会 総合大雄会病院リハビリテーションセンター
Q 現在のお仕事について教えてください。
私は作業療法士・理学療法士・言語聴覚士・セラピストエイド(事務・助手)を統括する技士長として働いていますが、今も臨床を軸にしています。対象は、脳卒中、骨折、心臓手術後、呼吸器疾患、がんなど、後遺症や術後の不安を抱え人生の岐路に立つ患者さんです。
作業療法士が扱う「作業」とは、朝起きてから眠るまでの目的ある活動すべてを指し、身の回り動作をはじめ、仕事、趣味、家事、社会参加など人の生活そのものです。私は、障害を抱えた方々の、「やりたい」「自分らしく暮らしたい」という希望を出発点に、失われた日常を再設計し次の生活行動につなぐ支援をしています。心・体・生活の意味まで扱える作業療法士は、人生に長く寄り添える医療職です。その価値をあらゆる人々に広げることが、今の役割です
Q 仕事でやりがいを感じることを教えてください。
各診療科の医師から作業療法士へ高い期待が寄せられ、患者さんのリハビリテーションを信頼して任せてもらえる時にやりがいを感じます。
作業療法士は多職種チームの中で生活を見据えた治療設計を担い、退院後の実際の暮らしまでつなぐ医療職です。何より、介入で患者さんが日常の作業を取り戻し、ご家族と喜びを共有できた瞬間に仕事の価値を実感します。「自分のことは自分で出来るようになりたい」「また仕事に戻れるかも」「趣味を再開したい」という希望が、実際の生活行動へ変わる場面に立ち会えることは作業療法士ならでは。一つ一つの生活の変化が、やがて人生の変化へとつながる現場に関われる誇り、人の役に立ち感謝され報酬として評価される循環が長く深く続くことが作業療法士の魅力であり、私の原動力になっています。
Q 仕事で大変だと思ったことを教えてください。
医療は日進月歩で、新しい知識や技術の習得は常に必要です。作業療法士は患者さんごとに異なる人生背景、価値観、心身状態に合わせて治療を設計します。知識や技術を“押し付けない個別化”は難しさに見えますが、作業療法士の専門性そのものです。
また病院ではセラピストと呼ばれるため、自分が行ったリハビリテーション治療に対する結果責任があります。1回のリハビリテーション治療でわずかでも変化を生み、次の生活行動へつなぐ工夫が求められます。私は新人の頃、この視点が十分ではなく苦労しました。しかし患者さんの生活を丁寧に観察し、目標を「作業の変化」に置き換え、医療チームと協働することで結果を出せるようになりました。大変さは、作業療法士として成長し、患者さんの生活を変える力を育てるための自己研鑽の機会だと思っています。
Q 作業療法士になってよかった・魅力を教えてください。
作業療法士になって良かったと感じる最大の理由は、医療・福祉・地域・教育など活躍の場が広く、どの領域でも「生活を取り戻す支援」ができることです。作業療法士は患者さんと病院内で最も長く関わり、ショックの大きい「できなくなった日常」を回復だけでなく再設計まで支援します。対象は身の回り動作のみならず、料理、仕事復帰、趣味再開、自動車運転、社会参加など無限に広がります。だからこそ「作業療法のおかげで日常が戻った」と感謝されることが多い職種です。
国家資格の安心感は土台に過ぎず、その上に築ける作業療法士の専門性は“人生の再生と生活の希望を行動へ変える力”です。私はこの仕事に誇りと魅力を感じています。そして、楽しく充実した毎日を送ることができています。
Q 作業療法士を目指したきっかけを教えてください。
私は、障害を抱え困っている人の生活復帰を支える病院で働きたいと考えていました。そして、医療の世界では“セラピスト”と呼ばれる職種への憧れもありました。決定的なきっかけは「人は体だけが治っても生活が戻らなければ本当の回復にはならない」と気づいた瞬間でした。
学生時代の実習で動作訓練の後に、「これで、家で何ができるようになりますか」と患者さんに問われ、言葉に詰まった経験があります。その時初めて、治療を“生活の作業の変化”へつなぐ視点こそ作業療法士の価値だと理解しました。誰かの生活の希望を行動に変え人生の変化へつなぐ仕事がしたい。その思いが、作業療法士という職種選択を確信に変えました。
Q 平成医療短期大学での思い出を教えてください。
私は身体障害領域の作業療法士を目指していたため、解剖学・運動学・生理学など体の仕組みを学ぶ時間がとても楽しかったです。触診や検査の実技は、まさに臨床そのものでした。カリキュラムはバランスが良く、学校の先生や講師陣は臨床経験が豊富で講義は実践的でした。
実習前にはカルテの読み方や評価(検査・測定)法を一緒に練習してもらい、学んだ知識は今も患者さんの治療と生活目標設計に直結しています。実習先の病院で、患者さんに作業療法士の卵として信頼してもらえた喜び、国家試験を仲間と支え合い楽しく学んだ時間も大切な思い出です。学校での学びは、今も臨床直結の力になっています。
Q あなたにとっての大切な「作業」もしくは休日の過ごし方を教えてください。
私の休日や日常は、作業療法士としての視点を育て仕事の力になる“作業”でつながっています。平成医療短期大学の非常勤講師として学生へ臨床視点を伝えたり、新聞の健康コラム連載で地域へ情報を届ける活動を行ったり、地域講師として市民の健康教育に関わる時間も大切な作業です。
根底にある軸は「人の生活をより良く動かしたい」という作業療法士の価値観です。加齢に伴い健康不安を抱える地域住民へ、リハビリテーションの立場から根拠ある健康啓発を届けることは回り回って臨床にも役立っています。患者さんの生活を観察し意味を見出す“ネタ作り”も楽しい作業であり、プロとしての自分を更新し続ける大切な時間です。